【パコ絵画教室】
- ecco inoue
- 11月6日
- 読了時間: 6分
更新日:1 日前
パコ絵画教室は今年10年目に突入しました。
パコのある建物に壁画を描いてから3年後、パコはスタートしました。

絵画教室を始めるなんて考えもしなかった事。
壁画制作中に「絵画教室をぜひやって下さい!」と声をかけていただいた事がきっかけです。この方に声をかけていただかなかったら、考えもしなかったので本当に感謝しています。
それまで色々な事を始める時に勢いでやってきましたが、やりたい事に出会い易い体質の私は凄くやりたいけれど、子供も含めてたくさんの人を巻き込む事になる「教室」を何度もシュミレーションして「続ける」という事についてとても慎重になっていました。そして3年もかかってしまいました。
「絵も描く花屋でカフェとライブバーをやっている人」という説明のしにくい私と、「ミュージシャンで絵を描く人」の原田章生君が知り合った事で、絵画教室をスタートさせる事になっていきます。

私と原田先生のそれぞれの使える時間が合ったという、今思うと凄く隙間のタイミングだったように思います。少し時期がズレていたらスタートしなかったかもとも。
「話し合い」ができる事で躊躇していた事が溶けていく感じでした。ふたりとも専門学校で講師業を長く務めていた事と、「0から1を作る事」を日頃の制作でやっていた事や、単純にとても気が合ったというのも大きかったです。大人になってできた気の合う友達は宝です。

「どんな教室を作るか。」
講師の考え方ひとつで自由に方針やカラーを作る事ができる絵画教室。
子供にデッサンを指導する事などご法度のような意見もありました。子供の柔らかい自由な感性にデッサンという技術はせっかくの自由さを奪うかもという考え方です。
私達が「どうして絵を描く事が好きになったのか?」を話した時に合致する点がありました。
上手く描けたと自分が思った事があった。
絵が上手いねと言われた事があった。
なんとなく影を描いた時「おお!」っとなった。など。
では「絵が上手いってなんだろう?」と考えた時に、「描きたいものが思っているように立体的に描けた時に思う事が多かった」事にたどり着きます。
二人とも小学生の時にこれを感じていた事が今のパコの指針のひとつとなっています。言語化する事で霧が晴れるように目的が明確になっていきました。
小学生の間にデッサンの考え方や技術が入る事で、柔らかい感性の邪魔になる事がイコールに結びつきませんでした。むしろ、子供が描きたいと思う事が描けるようになる事にプラスになるんじゃないかと。
パコは比較的指導が具体的です。 上手くなった向こう側に増幅し続ける楽しさが待っている事を私達が体感しています。

そして私達二人共「親」であったと言う事も方向を決める事で大きな要素でした。
子供が作って来た作品の保存です。
子育て中は作品を残したいけれどこれはどうしよう・・・な物が溢れて来ます。子供自身が作った事も忘れる作品も含めて、親判断で処分したり写真でのみ残したり。その写真は念の為残したけれどその後見る事もなかったり。
もう二度とその年齢で作る事のできない作品を、完成度や素材を考え作品が作品として保存される事にも重点を置きました。
長く通っていただくいているお母さんに「自宅が子供の作品の美術館みたいになってきました。」と言われた時に目標を達成してる!と思いました(笑)。

まずは月曜日と木曜日の週2日×月3回、こどもクラスと大人クラスからスタートしました。
毎週の課題は凄く考えます。「おもしろい」は主なキーワードのひとつですが、「何を経験するか」「何が身体に入るか」「難易度は」「達成感は」などがくっついてきます。

教室が終わった夜間に試作作りをたくさんしました。これだ!という課題が出来た時は、子供達が作った時・描いた時の事を想像して興奮しました。
手探りで課題を考える時間も、教室について話す時間も前しか向いてなくて面白く、時間を忘れるくらいでした。
地道にコツコツ毎回の課題を話し合いながら決めていく間にパコのカラーがしっかり太く頑丈にできてきました。
2021年10月よりモニターを導入。
2023年夏に原田先生は画家に専念する為にパコを退きました。何も無いところから一緒に作ってきた7年間の「強い根っこ」があるおかげで今もブレずにパコはあります。
現在原田先生はたまに顔を出してくれてこっそりとパコを見守ってくれています。パコの大切なCEOです(笑)。
現在、講師は7名に増えてチームで動いています。先生方は私の子供と同じ位の年齢で、みんな個人で制作活動もしています。年齢は私の半分くらいですが、学ぶ事だらけでたまにというかよく、年齢を忘れて頼り切ったりしています。
シオン先生と琴絵先生は2019年から、葉留香先生は2022年から、真央先生は2023年から、瑠果先生と優英先生は2025年からパコの仲間になってくれました。

パコの考え方や大切にしている事を真面目に真摯に共有してくれて、皆多様で多彩で、「よくぞパコに集まってくれたなぁー」と大声で自慢してしまいたいくらいの良いチームだと思っています。この仲間に出会えた運は最強に持ってるとほんとに。
現在の課題は主に私が考え、もう一歩アイデアが欲しい時にみんなと相談しながら最終決定をしています。ひょいっと面白いアイデアが出てきたりするので、相変わらず私はその度に興奮しています。
おしゃべりな私にみんなよく付き合ってくれるので、老害にならないように気をつけないといけません(笑)。
課題になるまでの試行錯誤の時間がとても好きな時間。
私は失敗する事も忘れる事も非常に多く、謙遜とかの類ではなく、おっちょこちょいというかわいらしいレベルではない人間だと自認しています。子供達にも大人の生徒さん達にもご父兄にも講師の先生方にも隠さず、隠せず、丸出しにしています。助けられる事がとても多く本当に感謝しています。
「先生」と呼ばれる人に自分がなっている事におこがましい気持ちはどこか拭えないでいます。「先に生きた人」として私ができる事は、私が経験して来た事を伝える事、伝える言葉や方法を増やす為にインプットをし続ける事、間違えた時、失敗した時に謝り改める事、出来上がって来た作品とそれを作った人と時間を愛する事です。

「パコ」の名前は、それぞれが持っている「箱(ハコ)」に余分なスペースを作りたい、余分なスペースはトロっとしたりくねっとしていたりする変形していく箱を想像してつけました。
年に36回または24回の大切な数時間、ひとりひとりの箱の余分なスペースに何を入れていけるのか。今後もずっと試行錯誤をしていくと思います。
同志の原田章生君は今では日本だけではなく世界で活躍する画家になりました。新しい生徒さんも増え、原田先生がいたパコを知らない生徒さんも増えてきました。この人がいないとパコは無かったので、次回の「コラム」は「原田章生について」を書きたいと思います。



















